アメリカの在院日数が短い理由
人工関節の手術をされた患者様のリハビリを見学したときに、スーパーバイザーが、「ICUやPUCユニットでのリハビリの最大の目的は患者様が移動手段としていかに早期に歩行を獲得できるかよ!もちろん痛みがあっても歩ければそれでいい!」と私に教えてくれました。
現に私が見学した患者様も術後1日目でPCAを行いながら必死に歩こうとしていました。
ICUやPCUでの一日の滞在費用は高額であり、患者様の利用している保険によっても負担額のカバーが違うこともあり、こうした背景もアメリカでの術後全般の在院日数を短縮する要因となっていると感じました。
日本にいる時の私の印象としては、手術技術が高度であったり、リハビリの質が高く在院日数が短いのかと思っていましたが、一概にそうではないのだと言うことがこの経験を通して分かりました。
シームレスアプローチ
現在、日本でもシームレスアプローチがテーマに多く挙がる時代ですが、アメリカのようにこれだけ稼働が早いと先手を打ってしっかり術前から次の受け皿を確保、計画しておかないととてもじゃないですが患者様は無駄に高額の医療費を払い続けるか、路頭に迷ってしまいます。
そこで私が実習をした病院でもケースマネージャーと言う職種の方が活躍されていました。
日本で言うソーシャル・ワーカーやケアマネージャーといった職種でありますが、アメリカのケースマネージャーはその大半がナースとして勤務した後にキャリアアップとしてマネージャー職に就くというのが私の出会った方々には多いように感じました。
彼女達は術前からカンファレンスを頻繁に行い、手術後には既に次のサービスの手続きや移転先などの確保は完了している状態でした。
こういった職種のスピードを重視した働きがあるからこそアメリカのシームレスアプローチは成り立っているのだと実感しました。
最後の臨床実習へ
2年間のカリキュラムを修了するのが5月中旬です。
そこから大学自体は長期の夏休みに突入するのですが、私たちPTA学部はそこから約3ヶ月(6週間×2回)の最後の長期実習が始まります。
もうこの頃には全ての学科をクリアして国家試験前の状態です。
私は、地元の整形クリニックと、カイロプラクティックの医師が運営しているクリニックの2施設で実習を行いました。
どちらも私が住んでいたカーボンデール市内のため、通勤は非常に楽でしたが、生徒によっては遠くの州から来ているので実家周辺の施設で実習をするということで、各々のホームタウンへ帰っていきました。
その実習では両施設とも2日間ほどのオリエンテーションと職務の流れを見学してすぐさま一人のPTAとして患者様の治療にあたります。
もちろん全てのPTA学生は医療事故や訴訟に備えた保険に入ることが義務づけられていますし、入職する際にもそれが必ず求められます。
幾分かの懐かしい緊張を覚えますが、それでも今までの実習や授業で臨床を想定したカリキュラムをこなしていたのであまり違和感もなくとにかく仕事に慣れるという意識で実習を遂行していました。
日本での臨床経験もその役に立っていると思います。
日本の臨床実習の課題
しかし思い返してみると、日本で臨床実習をした時は患者さんのことももちろん考えていますが、潜在意識の中でどことなくとスーパーバイザーに怒られないように、機嫌を伺って成績を意識していたように感じます。
先にも述べましたが、実習のための実習ではなく、臨床のための実習を体得できたように思います。
今もたくさんの学生が実習で病院に来られますが、その姿を見る度にこれからの日本での実習体制を改革していかなければいけないと感じますし、それは外を見てきた者の1つの責任でもあるように感じます。
つづきは次回へ>>アメリカ留学 その23 卒業、そして緊張の国家試験!!
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